○2-2-1 イメージしたシーンを描く:作例1
では、実際にイメージしたシーンを描いてみましょう。
イメージの内容は次のとおりです。
◎目標:マンガの妖精を描きたい
◎対象:自分のために描きたい
◎イメージ:マンガの妖精ってどんな感じか?マンガを描く時、そっとやってきて力を貸してくれる。
イメージとしては、老人。マンガを描いている時、部屋のスミでじっと見守ってくれる。そして、努力した分だけチャンスをくれたり、技術をつけたりしてくれる。
マンガ好きの前にしか現われない。大きさは小さい。ユーモラス。
◎サブイメージ:マンガを描いてて苦しくなってくると、そっと助けてくれる。眠くなったら、マンガの神様がやってきて、眠らせる。そして毛布をかけてくれる。30分したら、起してくれる。
良いアイディアをくれる。
但し、自分の努力が反映されるような感じが良い。ただイタズラにラッキーや技術をくれるのは、人間としてだめになるので、陰日なた無く見てくれるのが良い。
つまり、頑張った分、いろいろなことが反映される方が良いし、逆に、サボったりズルをしたりすることに対して、罰を与えるなどの面があった方が面白い。
以上が、マンガの妖精のイメージです。キャラクターの設定にもなっています。これは、マンガ制作の中で※企画・発想という工程に直接繋がる作業になり、マンガを作る時の芯になります。
次はデザインを考えてみます。
方法は、自分のイメージを捜す所から始めます。
作業としては、アイディアスケッチの様な感じでおこないます。自分のアイディアを具体的なイメージとして、紙に描く方法が一般的です。
この作業をスムーズにやるには、普段の生活からアイディアをためておく習慣を付ける所から始めます。これは『観察力』と呼ばれ大きな働きをします。観察力は、モノや人間がどうなっているかを分析する力です。どこか行く時はデジカメも持っていきましょう。細かい積み重ねが財産になります。
『観察力』によって、いろいろなものの情報を集めます。そして頭の中で整理して、自分の
『※感性』によって、必要なものを選びます。
自分の『感性』に自信がない人は、企画を考える時の項目を使って内容を絞ることも可能です。
1)対象読者
具体的に誰が見るかをイメージします。
2)読者をどんな気持ちにさせたいか
目的です。
3)自分が見せたい部分は何か
テーマです。
4)かけられる時間や費用など
1時間?それとも、取材やアイディアを凄く練って2〜3日掛けられるのかを判断します。締め切りと予算です。
これは、ほぼマンガ制作の工程の『企画・発想』と同じ様なものです。
それでは、今回のテーマに沿って企画部分を作っていきたいと思います。
1)対象読者
中学生から高校生のマンガ家を目指す男女。
2)読者をどんな気持ちにさせたいか
ホンワカとした気分。
3)自分が見せたい部分は何か
共感を生む部分。マンガの妖精が、いつも見守ってくれればいいなという願望。
4)かけられる時間や費用など
一日。費用はできるだけミニマムに。
サブイメージの『毛布をかけてくれる』イメージを描いてみました(図2-13参照)。それをもとに、構図などを取って、鉛筆でラフに描いてみます(図2-14参照)。
いい感じだと思います(このように、自分で判断する)。イメージに近いです。これを元にカットにしてみます。更に鉛筆で形を細かく描き込んで、ペンを入れます。インクが乾いたら、消しゴムを掛けます(図2-15参照)。
次にスクリーントーン/ホワイト/ベタなどで仕上げをします。できるだけ丁寧にしあげましょう(図2-16参照)。
参照例はパソコンで仕上げをしました。
細かい制作方法は、p28ページからの制作方法の例に準じますので、参考にしてください。
▼図2-13
デザイン案です。最初は人間のキャラクターをイメージしましたが、
途中からそうではない感じで考えてみました。
▲図2-14
具体的なイメージを描いてみます。最初に描いたデザインを元にリファインし
てみます。
この時、構図や細かいイメージなども考えてみます。全体がまとまれば、ペン
を入れます。

■図2-15 鉛筆で細かく描き込んだ下描
きに、ペンで丁寧にインクを入れていき
ます。
机などの直線は定規で描き、人物などは
フリーハンドで、モノの違い、質感を線
の感じで描くことをイメージして描きます。


※感性

モノを見て、それが良いか悪いかを自分の感覚で判断する力。自分の素の部分の力になるので、他の職業に就いたとしても、武器になる。しかし、逆に一般常識をしらないとそれが上手く機能しない場合が多いので、合わせて一般常識も同時に増やす様に努力する。

■図2-15 鉛筆で細かく描き込んだ下描
きに、ペンで丁寧にインクを入れていき
ます。
机などの直線は定規で描き、人物などは
フリーハンドで、モノの違い、質感を線
の感じで描くことをイメージして描きます。




Step7課題.イメージシーンを作ろう3
■あなたのイメージを絵にしてみよう!
自分で描きたいものをワンカットにしてみます。2-2-1のマンガの精を描く工程と同じように、制作してみましょう。描くものは、以下の中から選んでください。
1)自分にとって大切なもの、必要なもの(架空のものでも可)
2)こんなものがあったらいいな
3)身近な動物
4)憧れの職業
提出する内容は、企画内容とイメージ(アイディア)スケッチ、そして完成のカットです。企画内容/イメージ(アイディア)スケッチと完成のカットはA4用紙1枚づつ、計2枚で描き上げてください。
読者に自分が表現したいことが十分伝えることを意識して、描いてみましょう。
ポイントは、企画がきちんと出来てるか?またその企画通りの内容で、作品が描かれてるか?です。

○2-2-2 イメージしたシーンを描く2
2-2-1の説明で分からなかった人のために、『自分の尺度で作るシーンイメージ』を考えてみます。

▲図2-16 マンガの精(トーンはPC) キャラクターをデザインして仕上げまで約6時間くらいの制作時間です。
1日くらいで描ければ良いと思います。目標を決めて、描いてみましょう。 
この方法は、『◆step6課題.イメージを作ろう!(9ページ)』の言葉から自分の具体的なイメージを作る方法を更に押し進める様におこないます。
○手順
1.最初に読者/テーマ/目標/かけられる時間・予算を考える
2.キャラクターのイメージを作る
・形や言葉、仕草、セリフ、性格など
・特長を生かしたシチュエーションを考えてみる
3.作品を描くための細かい設定を作る
・設定を作ってみる
・いろいろな表情を考える
・特徴を表す行動をイメージする
4.作品のアイディアを固めて、何をどう見せるかが有効かを考え、アイディアスケッチを作る
5.作品制作
さて、具体的に考えてみましょう。
■例:キモカワイイからイメージを連想して、イメージを作っていく
まず最初に、キモカワイイというイメージを考えてみます。
最初のイメージが出来たら、次に設定を作ってみます。そのキャラクターの特徴を入れた場面でもいいです。たくさんイメージして、使えるものを選びましょう。
キャラクターデザインが出来たら、次にそのキャラクターを表す性格や行動、自分が“キモカワイイ”と思った部分を、読者に伝えるためにイメージして、“いい”と思った場面(シーン)を考えましょう。
手順は図2-17を見て、参考にしてください。自由度が高いので、思いついた作品が作れると思います。
ポイントは『読者の立場で考える』です。自分の“キモカワイイ”を自分だけものではなく、読者からみたキモカワイさとはどんなものかをイメージしましょう。

■図2-17 『キモカワイイ』を作ってみる!:作例2
■1.企画(読者のイメージと作品の制作イメージ)
>対象読者:高校生以上、男女 >テーマ:ギリギリで面白い
>目標:印象深いものの制作 >制作時間など:1日、低予算
■2.キモカワイイという内容を考える(キャラクターのイメージ)
まず、自分の中で、『キモカワイイ』という内容を考える。
>キモい:理解出来ないモノで、嫌な感じがしない。
>カワイイ:愛嬌があって、目が離せない。触りたくなる。
■3.自分がキモカワイイと感じる形をイメージする
次に、具体的な形をスケッチしてみる。
>四角いモノより、丸い感じ。
>何を考えてるか分からない。
>ひょっとすると、底知れない怖さがあるかもしれない。
>よく見ると気持ち悪いが、愛嬌ががあり、手放せない感じがする。
これも『キモカワ
イイ』かも。
この方向性か?

■図2-18
■3.イメージをもっと具体化します。
丸っこい感じでキャラクターを作り、そのイメージを更に具体化します。
次に。。。。・形や言葉、仕草、セリフ、性格などのイメージをつくる(大まかなイメージ)。。。
特長を生かしたシチュエーションを考えてみる(おおまかなイメージを作る)

条件により手足が引っ込んでいる<<桃のよう

ラフに描いたり細かく描いたり、作者のイ
メージを膨らませる

■4.作品を描くための細かい設定を作ります。
・設定を作ってみる
>名前:おしり、年齢:不祥、NASAに開発された最先端の
生物らしいが、イマイチ不明、やさしい
・いろいろな表情を考える
このイメージが面白いので、
これをベースに考えてみる
(面白さ優先で)

E行動をイメージする

参照8-1

キモカワイイ奴が、
怪しい男を尾行し
てるイメージ。面
白さ優先で“インパ
クト”を与えるよう
な内容にする

■図2-19
■5.作品を制作します。
イメージを決めたら、それをどう表現したら効果的に伝えることができるかを考え、作品にします。完成作品は、ストーリー性を感じられるものになると思います。これが、シーン作りになります。

◆Step8課題.イメージシーンを作ろう4
■あなたのイメージを絵にしてみよう2
自分で描きたいものをワンカットにしてみます。今まで学んだことを元に、自由に描いてみましょう。
1)アイディア(イメージ)スケッチ(これは絵で)と描きたいものの説明(2-2-1.イメージしたシーンを描くで学んだように、イメージをテキストで)ネA4一枚
2)企画を作るネテキストでA4半分くらい
3)実際作る絵のラフデザイン(アイディアスケッチの中から選んでも可。但し、完成イラストに近い形でイメージでラフに描き直す:図2-14のようなもので可)ネA4半分。企画と一緒の紙で。
4)完成イラストネA4イラスト(絵の部分は17×26cm程度)として完成させる。ペン入れをおこない、仕上げる。仕上げはPCでもアナログでも可。
自由な作品なので、何を描いても構いませんが、題材を選ぶ際には、読者に対して何を狙っているのか?どんな気持ちにさせたいのか?自分の作ったテーマに対する理解力や考え方などがポイントになります。
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