■4-1-2.ネームの初心者のための簡単なネームの描き方
ネームが出来てマンガは半分完成というのは、実は本当のことです。

マンガにとってネームはストーリーの展開が読者にわかるように、絵やセリフ、ナレーションなどをコマに振り分けて画面を構成をしたものを言います。ネームは、マンガの設計図と言われるもので、完成作品をイメージできる作りになっています。
それでは、具体的に制作例をあげます。

1)作ったストーリーをページに割り振る
作ったストーリーをそれぞれのページに割り振ります。例えば今回の目標のように4ページの作品と考えると、ストーリー全体を4ページとし、1ページ目には何を載せて、2ページ目はこれを載せて、、、、と、順番に割り振ります。

2)割り振ったらその内容をイメージする
そのページの中にどんなコマを入れるか、次にイメージします。標準のページを6コマとしたら、6コマ分の内容をイメージします(図4-2、図4-5を参照)。この時、まだ大きさなどは考えなくて良いです。
自分が必要だと思ったコマを並べます。慣れないうちは、紙に描き出すことも必要です。
この時、決められたページ数の中で、自分が必要だと思ったコマの過不足を調整してください。できるだけ、自然に話が展開してるかどうかが、チェックポイントになります。


▲図4-5-01 ▲図4-5-02 ▲図4-5-03
▲図4-5-04 ▲図4-5-05 ▲図4-5-06
▲図4-5 1ページに入るコマの中をイメージする

決めたストーリーを、描くページ数で割り振りをします。そして次に、その中に入る内容をそれぞれイメージします。作例は、1ページあたりのコマを6コマとした場合のイメージです。
まず、このように順番で頭の中にそれぞれのコマをイメージしてください。この時、コマの大きさは考えなくて良いです。


3)イメージしたそれぞれのコマを見て、演出意図にあったコマの大きさをイメージする
次に、イメージを描き出したコマを見て、各々のコマの大きさをイメージします。必要だと思ったコマは大きく、普通のコマ、小さくていいコマをイメージします。そして、いちばん大きいコマを決めます。これは、この見開きで読者にいちばん見てもらいたいコマになります。(図4-6参照)
コマの大きさを決める基準の一つに、読者に『そのページで何を訴えるか』をきちんと決める必要があります。それによって見せたいコマが変るので、よく考えて選びましょう。
大きさが決まったら、読者の立場になってそのページはどう見えるのかもイメージします。


▲図4-6-01

▲図4-6-02
▲図4-6-03
▲図4-6-04 ▲図4-6-05 ▲図4-6-06
▲図4-6 イメージしたそれぞれのコマを見て、演出意図にあったコマの大きさをイメージする

イメージしたコマを見直して、どのコマを大きくするか、小さくするかを考えます。
ポイントは、このページの役割を考え、それに必要なコマを大きくイメージします。
例えば、図3-42-03は怪しい怪物の登場で、それをハッキリ読者に見せたいと思い、それを最優先で考えると左図の様な大きさがイメージできます。


4)コマ割りをする
イメージが出来たら、実際の紙に描いて見ます。コマの大きさを決め、鉛筆などでコマを切ってみます。この作業は、一ページに5〜7コマを平均に、とにかく、見せたいコマを必ず大きくして、見開き(ページを開いた状態で見える2ページ)に入れるように意識して割りましょう。紙はコピー用紙やノートを使います。
マンガの読み方はmanga-Study-book21世紀マンガプロダクト基本編basic01-2の『付録2・マンガの読み方』を参考にしてください。右開き、左開きのマンガの読み方が書いてあります。マンガを読む時のコマの順番のルールを良く理解して、コマ割りをおこなってください。


▲図4-7-1
横書き用のコマ割り
▲図4-7-2
縦書き用のコマ割り
▲図4-7 コマの大きさがイメージ出来たら、ページ単位でコマ割りをおこなう

コマの大きさがイメージ出来たら、紙に向かってコマ割りをおこないます。イメージしたら、あまり時間をかけないようにして作業をしましょう。全部割ってから絵を入れても、ひとコマづつ割って絵を入れても良いです。
図4-7-1は左開きで横書き用で、図4-7-2は右開き縦書き用です。横書き用は横の吹き出しを意識してやや横が多く、縦書き用は縦書きのネームが入るように縦長のコマが多いです。


5)イメージしたコマの絵を入れてみる
コマ割りが終わったら、その中に順番に絵を入れていきます。一回で決めようとせず、ネームは何度も描き直すことを前提に素早くイメージを入れます。
コマ割りと絵を入れて行く作業を同時におこなうのも良いと思います。但しその時は、そのページにどこまでおさめるかをきちんとイメージしてから作業を始めます。
成り行きではいけません。きちんと計算して描くクセを付けましょう。
また、セリフもきちんと入れ、セリフの多さなども加減しましょう。多ければ、国語的に少なくする作業が必要になります。文章を良く読んで、必要なもので構成する必要があります。


▼ネーム1 コマ割り ▼ネーム2 あたり ▼ネーム3 細かく
▼ネーム4 全体を描く ■図4-8 ネーム制作の手順

・ネーム1 そのページに何を入れるかきちんとイメージしたら、その内容を入れるためのコマを作ります。
・ネーム2 次に、おおまかにコマの中へイメージした絵を入れていきます。この時、セリフの大きさに注意して吹き出しもいれます。
・ネーム3 そして、ストーリーの進行を理解出来る様なレベルで、キャラクターの表情やポイントを細かく描きます。吹き出しの位置が絵の邪魔になる時は、移動させるなどの調節をおこないます。
・ネーム4 全体を入れて完成です。
ネームは一度で完成しないことが当たり前です。何度も描くことを前提に描きましょう。
今回のネーム制作の手順は、左開き(ネームが横書き)の制作例にしてあります。右開き(ネームが縦書き)と大きな違いは、吹き出しの形と読者の目の運びです。それぞれの特徴を踏まえて、描きましょう。


○4-1-3 5W1H
ネームを描く時、マンガの要素として注目したい部分として、5W1Hがあります。
5W1Hは、シーンが変るたびに読者に基本的な情報を伝えるための要素です。
マンガはバーチャルな世界(仮想【ウソ】の世界//現実の様だが、作者が作り上げた世界)を描きます。
実際、人間が描くものですから、現実とは違います。しかし、読者がマンガの世界に入ろうとするには、最低限そこ(舞台)はどこで、誰が何をしようとしてるということは、できるだけ早く短い時間に認識してもらう必要があります。そうでないと、読者はストレスや不安を感じ、そのマンガから気持ちが離れていきます。
特に、マンガ(各エピソード)の読みはじめ(オープニング)はその部分が重要です。

できるだけ分かりやすく、簡潔に主人公が何時どこで何をしてるか、読者に知らせる必要があります。その内容として5w1Hと言うものがあります。
5W1Hの意味は、

1)【who(誰が)】

2)【what(何を)】

3)【when(いつ)】

4)【where(どこで)】

5)【why(どんな目的で)】

6)【how(どのように)】

です。これは、文章を描く時の基本です。マンガでもこれを基本に描くとそれぞれの場面の状況が読者に伝わり易くなります。
最低限、『誰が』、『いつ』、『どこで』、『何を』は必ず描くようにしましょう。
特に、マンガのオープニングでは必要で、シーンが変るたびにも意識してください。

○4-1-4 多くのプロ作家のネームの描き方
では、プロの作家はどの様にしてネームを描いているのでしょうか?
具体的な描き方はそれぞれ個人差があると思いますが、初心者の描き方との違いは、『1)作ったストーリーをページに割り振る』から『4)コマ割りをする』迄を頭の中で瞬時におこないます。
いきなりコマを割って、その中に絵を入れていく様にみえますが、作業としては初心者と同じことをしています。瞬時に、コマの中の絵をイメージして、コマを割り、構図を考え、デッサンをとって、セリフを作っていきます。
初心者にとっては神業に見えるかも知れませんが、慣れてくればある程度はそれをこなすことができます。
ネームは基本的に勢いで描くことが多く、慣れれば慣れるほど勢いがあるネーム制作が良いことがわかります。勢いがあると、集中力が増し、出てくるキャラクターたちが勝手に(自然に)セリフを出してくれます。
つまり、頭で考えることが素早くネームの形になるのです。人間の頭で面白いことが思いついて、それを数日経ってから人に話すのと、思いついてからすぐに人に伝えるのでは、全く面白さが違ってきます。情熱が違います。
この、思いついてから人に伝えるタイムラグをできるだけ短くし、そしてそれを支える技術的なバックボーンがきちんとあれば、最高に面白いことを思いつき、それを人に伝えることも造作ありません。
それには、たくさんのネームを描き、基本的な技術をきちんと身につけることが大切です。



○4-1-5 ネームのチェックと起・承・転・結
全部のページが完成したら、構成のチェックをします。
完成してからすぐにチェックするのではなく、一旦、その作品から頭を切り離してからチェックをします。
チェックは客観的で冷静な視点を持つことが必要です。自分が熱中して入り込んでいた作品だと、冷静に慣れない場合が多いので、一端ココではクールダウンが必要な場合が多く、ネーム完成後はできるだけ、短い時間でも休憩することを習慣づけましょう。
構成のチェックの主な内容は、まず、自分が作った作品を起・承・転・結に当てはめて、修正します。
起・承・転・結にはフィクションに必要な基本が全部入っています。この基本は、読者を自然にフィクションの世界に入れて、楽しみ、感動し、そして満足して完結できるための基本が詰まっています。
マンガ全体を見ても、細かいエピソード一本を見ても基本は起・承・転・結で作られている方が、読者にとって分かりやすく、安心ので切る構成となっているはずです。
起・承・転・結と自分が作ったストーリーを起・承・転・結にあてはめて、過不足をチェックします。
起・承・転・結の内容は、この章の最初の方で述べてありますが( p45参照)、改めてここで記しておきますので参考にしてください。

●起:物語の始まり。読者の気持ちを捕まえ、ストーリへ引き込む役割を持つ。短いページ数の場合は、効率を考える。例えば、主人公の性格をを読者に伝え、物語がどんな状況かを、表現する。一般的には、読者の興味を引く内容を表現し、読者の心をガッチリつかむものにする。

●承:キャラクターや物語の状況の説明。簡潔に。そして、主人公を行動させるエピソードも入れる。

●転:物語でいちばん盛り上がる所。マンガのいちばん面白い部分。作者も描いていて、ワクワクする。このパートと次の『結』で作者の言いたいこと(テーマ)を描く。

●結:物語の結末や結果。ここでは、読者が満足するように描く。
起・承・転・結の構成の基本は、読者が物語にすんなり入っていき易く、一番満足を得やすい構造になっています。これを基本として学ぶと、エピソード単位で自然な流れの構造の物語がつくれるようになります。

最初は、これを意識しないでネーム制作をおこない、チェックで起・承・転・結を使います。
あまり、型にはめてストーリーを作ると萎縮して何もできなくなるので、最初はネームを最後まで描くことに集中して、後から起・承・転・結で過不足を修正します。

●マンガの起・承・転・結
ネ図4-9 『起』

物語の始まり。読者の興味を魅き、あなたのマンガへの入り口としての役割を持ちます。主人公の存在感をしっかり表現し、どんな物語か?どんな雰囲気か?を簡単に見せます。

ネ図4-10 『承』

物語の状況や設定の説明。または、『起』で紹介しきれなかったキャラクターについての補足も入れます。さらに、主人公が、行動を起こすか、もしくは行動する寸前まで描きます。

ネ図4-11 『転』

描いてて、また読んでていちばん面白いと感じる所。読者はドキドキ、作者はワクワクしながら進みます。次項の『結』と一緒に作者がいちばん言いたいことを表現するパートになります。クライマックス。

ネ図4-12 『結』

物語の結末や結果が描かれます。読者が満足するように描くのがポイントになります。
読者あってのマンガという形が成り立つように考えましょう。




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